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裁判傍聴

裁判傍聴ってすごい敷居高いイメージありませんか?むしろ裁判って傍聴できるって知っていましたか?


裁判を傍聴するのは少し流れを知っていないと難しいし、面白くないただの手続きになってしまうので、民法勉強会と行くことにしました!


霞ヶ関駅A1出口から出た目の前の建物が「東京高等地方簡易裁判所合同庁舎」です。その名の通り、東京高等裁判所、東京地方裁判所、東京簡易裁判所の合同庁舎です。裏には簡裁と呼ばれる簡易裁判所もあります。その隣には弁護士会館があります。


霞ヶ関駅A1出口前は日本の司法の中心になっているんです!


ちなみに最高裁判所は国立国会図書館の裏にあります。


では今から裁判傍聴までの手続きを書いておきましょう!


1、東京高等地方簡易裁判所合同庁舎に行く(霞ヶ関駅A1出口前)


2、「一般」の入り口から庁舎に入り、空港と同様の金属検査、手荷物検査を受ける

- 弁護士バッチがあれば検査を免除できます!そのためだけに弁護士になろうという人はいないと思いますが...


3、開廷表から事件を選ぶ

- 予約等は不要一切不要です

- iPadのようなデジタルデバイスが開廷表です

- 「刑事事件」をオススメします

- 最初は「新件」をオススメします

- 新件を見た後は「審理」「判決言い渡し」を見ても面白いと思います!


4、全ての電子機器の電源をオフにする

- 裁判所内撮影禁止!


5、傍聴人入口から入廷

- 開廷前、開廷後でも入廷可能(自由入退廷可能)


6、裁判官が入廷したら起立し、礼をする


7、着席し、静かに傍聴する

- メモは可能 cf.レペタ訴訟


注意事項

- 服装は自由

- 電子機器の使用は一切

- 禁止音をたてる行為は一切禁止


今回傍聴したのは

1、強盗

2、窃盗

3、詐欺、窃盗

4、覚せい剤取締法違反

5、大麻取締法違反

でした。


1、強盗

いわゆるタクシー強盗でした。被告人(40大男性)は自白しているため、自白事件です。自白事件の場合は結構スムーズに審理が進みます。被告人は高校中退でタクシー運転手になり、生活に困窮して会社から売り上げを窃盗し、首になりました。そして、再び生活に困窮し、生活に困窮したらタクシー強盗をしようという意思の元、女性が運転手のタクシーをつかまえ、犯行に及びました。証拠取り調べ請求の際に検察官が証拠としてドライブレコーダーの映像と音声を提出し、法廷で再生しました。被告人が刃渡り10cmほどの果物ナイフをちらつかせ、タクシー運転手に売り上げをよこすように言いました。タクシー運転手の女性は最初は「冗談でしょ?」とジョークなのかというような感じでした。しかし、被告人は「刺すよ」などと言ったため、「わかったよ」となだめるように返事をし、売り上げ約2万円程が入った箱を手渡しました。被告人は歌舞伎町まで行くように運転手に指示をしました。途中、タクシー運転手は「どうしてこんなことするの?」と被告人に尋ねました。被告人は「いいことなくてさ」「昔は誰かが認めてくれたけど...」などと言っていました。タクシー運転手は「私もいいことないよ」「私バツ(離婚)だよ」など被告人をなだめるていましたし、「本当にやる(逃げる)の?今なら私警察に言わないよ」と犯行を思い留まるように説得していました。被告人は「あなたいい人だから警察に行っていいよ」と言い、若干犯行を思いとどまったかのように思われました。しかし歌舞伎町に着くとタクシー運転手の「本当にやるの?」という問いかけに対して「ごめんね」とだけ言って逃走しました。ナイフを突きつけられ、自分より体格のいい後ろにいる被告人にいつなにをされるのかわからない状況であっても被告人を説得する女性運転手に感動しました。被害者と加害者が織りなす不思議な空間に映画を観ているのとは一切違う矛盾と混沌なリアリティを感じました。タクシー運転手は事件以来タクシー運転手の職を精神障害によりできなくなってしまいました。今回の審理は論告まで行かなかったため、検察官の求刑は聞けませんでした。

2、窃盗

いわゆる万引きです。しかも盗んだのは300円相当のおにぎりでした。私服警備員に現認され、コンビニから出たところで現行犯逮捕されました。これだけ聞くとすぐ終わる裁判ですが、被告人は「否認と黙秘します」と罪状認否の際に申し出ました。いわゆる否認事件とみていいと思うのですが、否認(否定する)と黙秘(なにも言わない)は矛盾する概念なので、それを同時にった被告人に裁判官は困惑していました。さらにこの裁判をカオスにしたのは弁護人でした。70-80才の弁護人は長らく弁護をしていなかったのか手際が悪く、留保も戦略上はありですが、留保を繰り返していました。検察官は警備員の調書などを証拠として提出しましたが、弁護人は証拠採用を反対し、それに対して検察官が訴訟法上証拠として採用できる文書としての証拠採用を求めたところそれも否定し、当該文書が当該法令に定める文書であることを立証することを求めました。裁判官も検察官も相当困惑し、検討するとのことでした。公正公平な裁判を受ける権利は全国民に認められた権利ですし、たかが300円されど300円でも犯罪は犯罪です。どんなに小さな悪でも裁かれるべきですし、裁くべきで処罰すべきです。しかし、300円...。

3、詐欺、窃盗

アメリカから詐欺で得た送金を日本で引き出す、いわゆる出し子のちょっとすごいバージョンが被告人でした。この犯罪で構成要件に該当する公訴事実はアメリカからの犯罪によって不法に取得した金銭であるとの認識がありながら送金を「重機売買のため」と偽り自己の口座に送金させたという銀行の対する詐欺(アメリカでの詐欺は関係ないです)と不法に入手した金銭については銀行に払い戻しの険路はないのにもかかわらず、払い戻しをさせたという窃盗です。事件は新件ではなく審理であったのですが、追起訴が2件あり、さらなる追起訴が見込めるということで公訴事実の読み上げだけで終わりました。

4、覚せい剤取締法違反

錦糸町駅前(千葉県民の新宿)において被告人が覚せい剤を所持していたという警察24時でよく見るタイプの覚せい剤取締法違反です。事件の端緒は警察官による職務質問ですが、今回の事件で争われたのは職務質問の「任意性」です。職務質問は強制捜査ではないため、身体の拘束や持ち物検査などが強制的にできません。強制捜査を行うには令状が必要です(現行犯逮捕の場合は持ち物検査ができます)。しかし、職務質問であったのにもかかわらず、警察官が職務質問から立ち去ろうとした被告人の上半身を両手でがっしり抱えたり、口にパケ(覚せい剤が入った小さなポーション)を含んでいるとの推測の元、口から顎や頭を抑え、出させようとしたなど任意性に疑いがあるとの弁護人の主張がなされました。弁護人は証拠として職務質問の一部始終が記録された防犯カメラの映像を提出しました。また証人尋問として職務質問をした警察官を出廷させ、上記主張を立証しようと試みました。なぜ、覚せい剤を持っていたことは事実なのに上記のように関係ないと思われる職務質問の任意性を論点にするのでしょうか。それは捜査の任意性が否定され、違法な強制捜査となるとその捜査において取得された証拠は「違法収集証拠」として裁判において採用できないという「排除法理」に当たってしまうからです。すなわち、覚せい剤の所持を立証する証拠(覚せい剤そのもの)がなかったことになって無罪になる非常に可能性が高くなるからです。例え、事実として覚せい剤を所持していたとしても国家による人権侵害を防ぐために国に対して大きな責任を課す法に改めて大きな関心をしました。現場の警察官としては信念(悪人を捕まえる)があり、間違ったことはしていないという認識があっても被告人を裁かないのが法なんですね。

5、大麻取締法違反

判決言い渡しの裁判で審理が全て終了し、公訴事実が聞けなかったのでどんな事件かよくわかりませんが、大麻を所持していた被告人は6ヶ月の懲役を言い渡されましたが、初犯であったということで執行猶予3年を付されました。執行猶予とは刑の執行をすぐにはせず、仮に執行猶予期間中に犯罪を犯さなければ刑の執行を免除するというものです。もし犯してしまうと執行猶予は取り消されてしまいます。



映画やドラマではわからないリアリティが裁判にはあります。誰かが不幸になったり傷ついたりしているので楽しいという言葉はあまりにも無責任だと思いますが、リアルに代わる勉強はありません。机の上だけでの勉強だけではわからないものがたくさんあります。


ジェネラリストとしてバランス感覚に優れた優秀な人材の育成を民法を通して目指す民法勉強会会員の人、もしくは希望する人は是非一緒に行きましょう!



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とうとう12月!あと4回!

活動も残すところ各曜日あと4回! 1年間慣れ親しんだ2018年度民法勉強会も終わりが近づいています😭 1回1回の活動がとっても大切になって来ますので、自分のためにも、これからも今まで通り一生懸命やっていきましょう! あと4回の勉強会を楽しみましょう🌟

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